Quantcast
Channel: サウンド&レコーディング・マガジンWeb
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2603

「SPITFIRE Albion One」製品レビュー:素早い音楽制作に有効なシネマティック音源の新バージョン

$
0
0

木管/金管/弦のほか シンセサイザー音源を搭載

初めに動作環境とフォーマットですが、Albion Vol.1同様、NATIVE INSTRUMENTSのKontakt 5 Playerを使用し、空き容量は55GB以上必要となります。Mac/Windows両対応で、フォーマットはVST、Audio Units、AAXのほかスタンドアローンでも起動可能です。Albion Vol.1と違う点は、オーケストラの人数を増やし音色が再録音された点。さらにアーティキュレーションもより多くのパターンが収録されています。また、パーカッションやシンセ系音源、ループ素材なども新規に追加されていたりと、まさにユーザーが望んでいた正統進化と言えます。収録パッチは大きく分けると、“Albion One Orchestra”(オーケストラの基本となる木管、金管、弦の各セクション)、“Darwin Percussion Ensemble”(TomsやCymbal、重低音のLow Percussion、Metal Percussionなど)、そして同社からリリースされているシネマティック・シンセサイザー音源で使われている高機能エンジン“eDNA”を使用したループ音源“Brunel Loops”と、シンセサイザー系“Stephenson’s Steam Band”の4つのカテゴリーに分かれています。一つうれしいのは、Albion Vol.1のパッチが一緒に収録されている点で、今までAlbion Vol.1を使用していた方も安心してAlbion Oneにアップデートすることができます。  

効率よくまとめられた各パッチ 自由度の高い音色加工が可能

では収録パッチをぞれぞれ見ていきましょう。まず、“Albion One Orchestra”にはBrassのHi/Mid/Low、そしてWoodsのHi/Low、Stringsという基本パッチがあり、オーケストラの楽器が非常に効率良くまとめられています。すべてのパッチを立ち上げたとしても、たったの6chしか使用しません(パーカッションは除く)。また、各楽器はキー・スイッチがあり、弦であればPizzicato、Staccato、Spiccato、Tremolo、Con Sordino、Collegnoなど基本的な演奏方法を収録しています。StringsのLegatoは非常に立ち上がりも早く、ピッチも安定した高級感のある音色で優しい曲、激しい曲ともに使えるオールマイティなStrings音源と言えます。Hi/Mid/Lowと分けられているBrassにおいては、HiがTrumpet+Horn、MidがHorn+Trombone、LowがTrombone+Tuba。木管はHi/Lowで、HiがFlute+Oboe、LowがClarinet+Basssonと、あらかじめ楽器が割り当てられているので、パッと目的の音を出せます(画面①)。また“Darwin Percussion Ensemble”には、Cymbalのほか、Boom系の低音パーカッション、Tom系、Metal Percussionなどを収録。それぞれ空気感のあるサウンドです。 [caption id="attachment_54384" align="alignnone" width="480"]▲画面① “Albion One Orchestra”のBrass Highの画面。Dynamics、Release、Tightness、Lush verb、Expressionといったパラメーターで音色をコントロールできる ▲画面① “Albion One Orchestra”のBrass Highの画面。Dynamics、Release、Tightness、Lush verb、Expressionといったパラメーターで音色をコントロールできる[/caption] そして、eDNAを使用したループ音源とシンセ音源の両パッチですが、どのパッチも本当に丁寧に作られており、すべての音色がクールなサウンドで実用的なパッチが多いのも特徴です。しかも、eDNAエンジンのおかげで、音色も自分なりに自由に変化させることができます。特にLFOはVolume、Pitch、Filterに掛けられ、簡単に面白い効果を作ることが可能。エフェクトもDistortion Drive、Tape Saturation、Flanger、Phaserなど、充実の内容となっています。 § ユーザーの意見をしっかりと取り入れて独自に進化していくSPITFIRE AUDIOは、もともと作曲家が集まって設立された会社だけあって、常に作曲家目線で作られており、画面も非常に使いやすく分かりやすい仕様です。Albion Oneはオーケストラ楽曲を急いでスケッチし、モックアップを作らなければいけない、または、楽曲の全体の雰囲気を形作りプレゼンしたい、といった場合に威力を発揮する音源だと思います。また、オーケストラの楽曲を書くのに、たくさんの音源を立ち上げるほどマシン・パワーがない、といった方にもお薦めできるでしょう。 製品サイト:http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=99411サウンド&レコーディング・マガジン 2016年2月号より)  

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2603

Trending Articles