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WAVESインストゥルメントに注目!ーキーボード&ベース編

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Reviewer 牧戸太郎

  [caption id="attachment_83650" align="aligncenter" width="626"]【Profile】三重県出身の作編曲家。東京音楽大学を卒業後に作編曲家として活動を開始し、ドラマや映画などの劇伴のほか、竹内まりや、つるの剛士、Hey!Say!JUMPなどの編曲を手掛けている 【Profile】三重県出身の作編曲家。東京音楽大学を卒業後に作編曲家として活動を開始し、ドラマや映画などの劇伴のほか、竹内まりや、つるの剛士、Hey!Say!JUMPなどの編曲を手掛けている[/caption]  

Clavinet

ビンテージ感あふれる実機さながらの音色

  clavinet    ファンク/ソウルなどブラック・ミュージックのみならず、ダンス・ミュージックにも相性が良いクラビネット。それをソフト音源化したのがClavinetです。オリジナル・モデルのHOHNER Clavinet D6を、ミュート・オン/オフそれぞれのモードで精密にサンプリングして収録されています。  画面中段に並ぶミックス・セクションには、キー・アップやメカニカル・ノイズのスライダーを備え、アンプ・セクションには真空管コンデンサー/ダイナミック・マイクを選択可能なスイッチと、オーバー・ドライブ・ノブを搭載。これらを駆使し、実機さながらの音作りが行えます。  デフォルトでは程良いビンテージ感のある音色で、プリセットにはスティーヴィー・ワンダーやビリー・プレストンなど、往年のアーティストの名曲をイメージしたサウンドが収録されています。これらを試しつつ、好みの音色を作っていくのもいいでしょう。  クラビネットと言えば、ファンキーで歯切れの良いパラディドル的なスタイルばかりがクローズ・アップされがちです。しかし、このClavinetを使っているとメロウな音色も良いサウンドだなということを思い出させてくれます。  各パラメーターはMIDIコントローラーで制御することができるので、フィジカル・コントローラーやパッド・スイッチにアサインし、リアルタイムにサウンドを変化させながらプレイするということも可能です。従来よりワンランク上の、本格的なクラビネット演奏がステージで演出できるでしょう。  

Grand Rhapsody Piano

8種類のマイクで収音された上質な響き

  grand-rhapsody-piano    Grand Rhapsody Pianoは、ロンドンにあるレコーディング&マスタリング・スタジオのメトロポリスに常設するグランド・ピアノ=FAZIOLI F228をサンプリングしたピアノ音源。クイーンのボーカル=フレディ・マーキュリーやアデルも使用した楽器だそうです。  収録は、異なる8種類のマイクと高品質のマイクプリやAD/DAコンバーターを用いて行われたとのことで、プラグインではその中から3種類のマイクをブレンドすることができます。またサステイン・ペダルの共鳴を擬似的に再現するサステイン・レゾナンスや、キー・アップ、ペダル・ノイズなどを調整し、まさに演奏者の呼吸を感じさせるような躍動感あふれる音作りが可能です。  筆者は、FAZIOLIのピアノは耳なじみがありませんでしたが、Grand Rhapsody Pianoの音色を聴いてすぐに気に入りました。手作業で作られたフェルトを採用したハンマーから得られる温かい打音は、ほかの著名ピアノ・ブランドの音とは違った味わいと個性があり、ピアノ・イントロで始まるバラードなどを書きたくなります。  エフェクトはWAVES H-Reverbのアルゴリズムを搭載したリバーブのほか、EQ/コンプ/リミッター/ディレイを搭載。どれも高品位な音質ですが、筆者としてはあえてこれらは使わず、打音のディテールまでリアルに聴き取れる“素の音”で、Grand Rhapsody Pianoを使いたいと思います。近年、上質なピアノ音源は数多く出てきてはいますが、ロックやポップス向きのピアノとしてベスト・チョイスとなりそうな音源です。  

Electric 88 Piano / 200 Piano / Grand 80 Piano

往年の名キーボード類を丁寧にモデリング

  electric-88-piano    Electric 88 Pianoは、RHODESをほうふつさせるビンテージ・エレピをサンプリングしたソフト音源。サンプリング対象は、あえて“使い込まれた”エレピが選ばれたとのことです。画面中段にあるキー/ミックス/アンプ/トーンなどのセクションで音作りができ、さらにコーラスやリバーブなどのエフェクトも多数搭載しています。ティンやキー・アップなどメカニカルな部分の調整も行え、自分好みの音色に設定できて楽しいです。  ビンテージ楽器独特のわずかなチューニングのズレが生み出す、心地良い揺らぎ感がたまりません。1970年代のファンク〜ソウルの雰囲気を演出できる、個性的なエレピ・サウンドが詰まっています。  続いてElectric 200 Pianoは、WURLITZER 200Aをモデリングしたエレピ音源。200Aは、カーペンターズやダニー・ハサウェイの楽曲でおなじみの音色で、レイチャールズやスティーリー・ダンなどたくさんの著名アーティストに愛されたエレピです。  Electric 88 Pianoと同様に、画面中段にあるミックス・セクションでメカニカルな部分の調整も行え、内蔵エフェクトはトレモロ/フェイザー/コーラス/リバーブを備えています。  音の密度が高く、タッチに対するきめ細かいレスポンスも良いです。柔らかい音色でコードやアルペジオを演奏したり、トレモロを効かせてソウルフルなメロディを弾いたり、バッキングからソロまで何でも任せることができる、まさに変幻自在なエレピ音源でしょう。  最後に紹介するのは、エレクトリック・グランド・ピアノのYAMAHA CP-80をモデリングしたソフト音源=Electric Grand 80 Piano。CP-80は、エルトン・ジョンやハービー・ハンコックといった1980年代のポップス/ロック/R&Bなどにおけるアーティストたちのヒット曲で登場します。  先述した2つのエレピ音源と同じく、Electric Grand 80 Pianoにも同様のミックス・セクションやエフェクト類を搭載。特にトーン・コントロールは、音楽的においしい周波数帯域がブーストされるようなセッティングなので、積極的に音作りを行ってみると良いでしょう。以上、実機に限りなく近いサウンドを持ちながら、音色やエフェクト設定の保存ができる、3つのエレピ音源を紹介してみました。いずれも制作だけでなく、ライブ・パフォーマンスの場でも生かすことができるでしょう。  

Bass Fingers / Slappers

躍動感あふれるリアルなベース・プレイを再現

  bass-slapper    Bass Fingersはポップスやロックを中心としたベースの指弾きを、Bass SlappersはファンクやR&Bなどで用いられるスラップ奏法を再現するベース音源。一言で言えば、プロフェッショナルなベーシストが、ベースとエフェクト・ペダルを持参して自分のスタジオにやって来てくれたような印象です。どちらもプリング・オン/オフやミュートなど、多彩なアーティキュレーションをMIDIコントローラーのキー・スイッチを使って演奏することができます。  画面中段にはベースの弦とフレットの画像があり、MIDIキーボードで演奏する音がフレット上でどこに対応しているのかがリアルタイムに表示されるので、視覚的にとても分かりやすいです。  画面上段には4バンドEQやレベル、ベロシティ、トーンなどのコントロール・セクションが、下段にはエフェクト・ペダルを模したFXセクションがあります。ベーシストがアンプやエフェクト・ペダルに付いている各パラメーターを操作するような感覚で、同じようにプラグイン上でも音作りが行えるでしょう。エフェクトは、コンプ、オーバー・ドライブ、ワウ、フェイザー、コーラス、ディレイ、リバーブなどを内蔵しています。これだけあれば十分ですね!  そのままベタ打ちしても十分リアルな質感のベース・サウンドが表現できますが、画面右上にある“MIDI FUNCTIONS”セクションではラウンド・ロビンやベロシティ・カーブなどが細かく調整可能です。またその下にある“ARTICULATION CONTROL”セクションではレガート・タイプや開放弦の設定なども変更でき、よりグルービーでプレイヤー・マインドあふれるベースを演奏させることができるでしょう。  両者とも出音は太く、オケの中でも存在感を発揮してくれます。画面左上のベース画像内にある、VINTAGE/MODERNというノブで音のキャラクターを調整できるのですが、その変化の仕方が実に音楽的! プラグイン・ブランドのパイオニアとして長年ノウハウを蓄積してきたWAVESならではです。Bass Fingers/Slappersは、“相棒ベーシスト”として、ベースの表現力を飛躍的に広げてくれるでしょう。  

WAVESプラグインの情報と購入はこちら!

メディア・インテグレーション WAVESオフィシャル・サイト https://www.minet.jp/brand/waves/top/ デジマートでWAVESプラグインを探す https://www.digimart.net/ メディア・インテグレーション オンライン・ストアでWAVESプラグインを探す https://store.minet.jp/   (サウンド&レコーディング・マガジン 2020年2月号より)

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