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「ACCUSONUS Rhythmiq」製品レビュー:AIによるドラム・サウンド自動分離技術を応用したビート再構築ソフト

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スタッター効果を施すFREEZEボタン 再構築したパターンを最大8つまで保存

 まずRhythmiqの画面左側、縦に区切られたエリアはブラウザーで、プリセットの呼び出しやユーザーが作成したプロジェクトのロード/セーブを行う部分です。この右側にあるのがメイン・エリアで、最上部にあるHOSTボタンをオンにすると、RhythmiqがホストとなるDAWソフトのスタート/ストップに追従します。またDAWが停止中でも、HOSTボタンの右隣にあるスタート・ボタンを押せば、Rhythmiq単体でも再生することが可能です。  画面上部に横一列、波形が表示されているエリア=マスター・ディスプレイには、分離させる対象のドラム・パターン・サンプルの波形が表示されます。その下には、後述する分離された各ステムにさまざまなアレンジを施すBEAT ASSISTANTエリア。さらにその下にはA/B/Cの3つのSTEMエリアがあり、AIによってキック/スネア/ハイハットに近い周波数帯域ごとに自動分離されてできた各ステムがアサインされます。各ステム波形の真下にあるFREEZEボタンを押すと、それぞれにスタッター効果を施すことができ、さらなるアレンジも可能。画面最下部には、再構築したドラム・パターンを最大8つまで保存できるSCENEボタンが配置されています。  

異なるサンプルのテンポを自動調整 素材を4/8/16分音符の間隔で分割可

それでは、手持ちのドラム・パターン・サンプルをRhythmiqのマスター・ディスプレイ上にドラッグ&ドロップしてみましょう。AIによって自動的に分けられたステムが、A/B/Cの各STEMエリアにアサインされます。   [caption id="attachment_83243" align="aligncenter" width="650"]▲サンプルをRhythmiqにドラッグ&ドロップする際、画面上部にあるマスター・ディスプレイか、下部にあるA(黄)、B(紫)、C(緑)のSTEMエリアかを選択できる。STEMエリアに直接サンプルをインポートした場合、自動分離されずにそのままアサインされるため、異なる3つのサンプルをスライスして再構築することも可能 ▲サンプルをRhythmiqにドラッグ&ドロップする際、画面上部にあるマスター・ディスプレイか、下部にあるA(黄)、B(紫)、C(緑)のSTEMエリアかを選択できる。STEMエリアに直接サンプルをインポートした場合、自動分離されずにそのままアサインされるため、異なる3つのサンプルをスライスして再構築することも可能[/caption]  また、別々のサンプルを3つのSTEMエリアに直接ドラッグ&ドロップすることも可能です。この場合、分離されずにそのままアサインされるので、異なる3つのサンプルから1つのビートを再構築することができます。もし各サンプルのテンポが違っていても、Rhythmiq内でDAWのテンポに自動的に合わせてくれるのでとても便利です。また、各STEMエリアにアサインされたサウンドのみを確認したい場合は、それぞれのエリアにあるSOLOボタンをオン/オフすればよいでしょう。  BEAT ASSISTANTエリア中央のIQ ARRANGEノブを回していくと、各STEMエリアで4/8/16分音符の間隔にてスライスされたステムがランダムにポジション・チェンジを行い、あれよあれよと幾つもの新しいドラム・パターンを生成。これは楽しい! IQ ARRANGEの割合を増やすと、より複雑でアグレッシブなビートになる印象で、トリッキーなものが欲しい場合は割合を高くすればよいでしょう。個人的には2〜3割くらいにしておくのが心地良いと思いました。また各STEMエリア上部にある丸いA/B/Cボタンを押すと、IQ ARRANGEをオフにすることができるので、任意のステムにのみIQ ARRANGEを施すことも可能です。筆者の場合、スネアかハイハットへのIQ ARRANGEをオフにして、それ以外を変化させるとちょうど良いアレンジが得られる印象でした。  またIQ ARRANGEノブの左側にあるIQ EVOLVEボタンをオンにすると、IQ ARRANGEノブを回さずともランダムにパターンが再構築され続けます。反対側にあるIQ REVERSEボタンをオンにすると、パターンの一部が自動でリバース再生される効果を得られます。  各STEMエリア内にあるARRANGEノブを操作するとBEAT ASSISTANTエリアでのIQ ARRANGEはオフになり、個別で設定することも可能。逆再生させるREVERSEノブや無音部分を挿入するSILENCEノブも同様で、より細かい調整が行えます。  使えそうなパターンができたら、先述した8つのSCENEボタンの一つに保存。フィルなど幾つかのパターンをここに記録しておくことで、狙ったタイミングで再生させることができます。各ノブはMIDIコントローラーにアサイン可能なため、ライブでも威力を発揮してくれそうです。生成したパターンをDAW上でオーディオとして扱いたい場合は、DAW側でRhythmiqを立ち上げたトラックを書き出せばよいでしょう。  RhythmiqはAIが分離した各ステムをスライスし、ただランダムに並び替えるだけではなく、“音楽的な”再構築が非常に秀逸。シンプルな操作で、今までの自分の発想とは違う領域のドラム・パターンを制作できる、まさに新時代のビート・アシスタント・プラグインと言えるでしょう。   (サウンド&レコーディング・マガジン 2020年1月号より)

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