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「SEIDE WIRELESS TDW Handheld Set」製品レビュー:6波まで同時に使える周波数B帯のワイアレス・マイク&レシーバー

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赤外線SYNCポートの搭載によって 素早いチャンネル設定を実現

まずはスペックの紹介から。レシーバーのTDW-610Rは出力端子にバランスとアンバランスを各1系統装備し、アンテナ入出力を2系統を備える。周波数特性は20Hz〜16kHzで、通信距離は50mまで対応する。付属のラック・キットを用いて、1Uラックに2台までラック・マウントが可能。筐体が金属製なので、搬入出時の不意な衝撃にもある程度までは耐えられるだろう。フロント・パネルには液晶ディスプレイと電源スイッチ、赤外線SYNCポート、操作を行うファンクション・キーを装備している。 [caption id="attachment_79902" align="alignnone" width="650"]▲レシーバーTDW-610Rのリア・パネル。左からアウトプット×2(XLR、フォーン)、2系統のアンテナ端子(入力&スルー出力)を装備する ▲レシーバーTDW-610Rのリア・パネル。左からアウトプット×2(XLR、フォーン)、2系統のアンテナ端子(入力&スルー出力)を装備する[/caption] 次はハンドヘルド・マイクのTHM-01。本体は300gで、一般的な重量だ。長時間の舞台でも、パフォーマンスに集中できるだろう。ちなみに今回レビューしているハンドヘルド・マイク・セットのほかに、TDW Beltpack Set(オープン・プライス/市場予想価格:36,852円前後)も販売されていて、そちらにはピン・マイクやヘッドセッド・マイク、楽器用ケーブルが同梱されている。 それではセッティングしていこう。まず驚いたのが音を出せる状態になるまでの早さ。レシーバーをミキサーに接続し、電源を入れてレシーバーとトランスミッターがシンクするまで1分もかからなかった。 デフォルトの設定はch1になっているが、任意のチャンネルに変更できる。まずレシーバーのSETボタンを押しからSELECTスイッチでチャンネルを変更して、SETボタンで決定。そしてマイクのIRポートをレシーバーの赤外線SYNCポートに10〜15cmほど近付けてSYNCボタンを1秒押すと、チャンネルの切り替えが完了する。 本機の特徴でもあるレシーバーの液晶ディスプレイには、赤外線の受信状況をはじめトランスミッターのバッテリー残量や周波数、チャンネル、A/Bダイバーシティ回路によるどちらのアンテナを使用しているか……などの情報が一目で視認できる。万が一本番中にトラブルが起こった場合、状況がすぐに確認できるのは心強い。特に受信状態/状況、バッテリー残量がレベル・メーター調で表示されているのは個人的に見やすくて好みだ。 マイクのディスプレイには現在選択されているグループとチャンネル番号、バッテリー残量が表示される。ボタンを押してから3秒ほどは明るくなりその後は暗くなるので、ステージで光が目立たない。バッテリーは多くのメーカーで採用されている、単三アルカリ電池×2本。ちなみにワイアレス・マイクは電池の消耗が意外と早く、リハーサル前に新品に交換しても本番中に電池切れを起こす可能性があるので、本番前に必ず新品の電池に交換しておくのが懸命だろう。  

厚い壁を経た1階上でも伝送可能 聴き取りやすくクリアな音質

実際に弊社のライブ・ハウス“原宿ストロボカフェ”でテストを行った。原宿ストロボカフェの常設ワイアレス・マイクや出演者が持ち込むワイアレス・マイクと比較していく。まず通信距離を実際に試すため、会場の外まで歩いてどの辺りで途切れるか試してみた。スペック通り直線距離にして50mくらいで通信が途切れたが、フロアの厚い壁を経た1階上からでもマイクからレシーバーに伝送できていた。 B帯という音楽に適した周波数帯域ということもあり、ボーカルには必要の無い低域と高域は抑えられて、聴き取りやすくクリアな音質。吹かれが若干目立つように感じたが、全体的な音の抜け感はバランス良く出ていた。 周波数B帯とデジタル周波数帯のワイヤレス・マイクの一番の違いはやはり音質面。デジタル周波数帯は高域が強いため冷たい印象を受けてしまうが、B帯はアナログの温かみがあり、非常に楽器となじみやすく感じる。 また、弊社が常設で使用している周波数2.4GHz帯のデジタル・ワイアレス・マイクは、観客が持ち込んだWi-FiやBluetoothに干渉されやすいというデメリットもある。B帯でも近隣環境による外部電波の混線が起こり得るが、それは事前に対処可能な要因だったりするので、本番のオペレート時に不安は少ない。 一点だけ気になったのが、マイクのグリップにある電源/ミュート・ボタン。指先で簡単に押せるようなサイズなので、ライブ本番中に強く握って電源を切ってしまう恐れがある。ダンスなど激しいパフォーマンスをするアイドルなどは特に注意。説明書を見る限りボタン・ロック機能も無さそうなので、何らかの対策が必要になってくるだろう。 セッティングから操作まで簡単に扱える本製品は、初めてワイアレス・マイクを導入するアーティストや、デジタル周波数帯の製品が多く出ている中、音響特性に優れる周波数B帯のワイアレス・マイク・システム導入を考えているPAエンジニアにもお薦めの製品だ。 [caption id="attachment_79904" align="alignnone" width="650"]▲マイク・ホルダーとマイク・ポーチ、アンテナ、ラック・マウント・キットが付属 ▲マイク・ホルダーとマイク・ポーチ、アンテナ、ラック・マウント・キットが付属[/caption]   (サウンド&レコーディング・マガジン 2019年6月号より)  

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