最大で5つの持続音を同時に発音
エフェクト音のみの出力も可能
Plus Pedalの大きさは、ちょうどピアノのサステイン・ペダルくらいです。光沢のある黒いボディに重厚な金色のペダルが高級感を演出します。クラブやライブ・ハウス、コンサート・ホールなど、どのような現場においても違和感なくその場になじんでくれるデザインでしょう。ペダルの重量感やコントロール・ノブを回したときの感覚、LEDの点灯バリエーション……など、細部までこだわりを感じる作りです。
正面のフット・ペダルから見ていきましょう。これを踏み込むことで、入力音のサステイン部分をループして音を持続させます。本機で生成される持続音をレイヤーと呼び、後述するTAILの値によってペダルを離した後のサステインの長さを設定。レイヤーが消える前に再びペダルを踏み込んで、新しいレイヤーを同時に鳴らすことも可能です。最大で5つのレイヤーを同時に発音できます。
このペダルが非常に優れもので、踏み込む速度によってサステイン音の強弱を調節、ショート・タップすることで全レイヤーを削除するキル・スイッチ機能、瞬時に半分踏み込むことで最後に記録されたレイヤーのみを削除、というように機能性に富んでいます。
ペダル上部には4つのコントロール・ノブを用意。生成された信号の音量をコントロールするBLEND、サステイン・レイヤーのフェード・イン速度を設定するRISE、フット・ペダルから足を離した後に音が減衰する長さを調節するTAIL、後述するGROUP/SINGLEの2つのモードで役割が変わるSUSTAINを装備しています。
サイドにはSUSTAINのモード切り替えをするGROUP/SINGLEスイッチを装備しています。GROUPモードは同時に発音するレイヤー数を1〜5の範囲で設定し、SIN
GLEモードでは自然な減衰特性を持つローパス・フィルターをかけます。ちなみにSINGLEモードでは常に5つのレイヤーの生成が可能です。加えてSPLIT/MIXスイッチも搭載。SPLITモードではエフェクト音のみが、MIXモードでは原音+エフェクト音がメイン・アウトから出力されます。SPLIT出力にはドライのアタック音が無いので、ボリューム奏法のようなサウンドを作るのに有効的です。
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![▲SUSTAINモードを切り替える(レイヤー数の設定、もしくはローパス・フィルター)GROUP/SINGLEスイッチと、エフェクト音に原音を交ぜるかを選択するSPLIT/MIXスイッチを装備。レイヤー数はSUSTAINノブで設定できる。設定時にはLEDランプがレイヤー数分点滅する。加えてSEND(フォーン)とRETURN(フォーン)を搭載する]()
▲SUSTAINモードを切り替える(レイヤー数の設定、もしくはローパス・フィルター)GROUP/SINGLEスイッチと、エフェクト音に原音を交ぜるかを選択するSPLIT/MIXスイッチを装備。レイヤー数はSUSTAINノブで設定できる。設定時にはLEDランプがレイヤー数分点滅する。加えてSEND(フォーン)とRETURN(フォーン)を搭載する[/caption]
次は入出力端子を見ていきましょう。1系統のインプット(フォーン)と2系統のアウトプット(フォーン)を装備。中央のCLEAN OUT/FSWからは原音が出力されています。レコーディング時に原音の収録で使用したり、メイン・アウトと合わせて2台のアンプに出力することで、擬似的なステレオ・サウンドを作り出すことも可能です。また、別売りのフット・スイッチを使用する際はこの端子に接続します。フット・スイッチは瞬時にSPLITモードへ切り替えることができるので、ライブで表現の幅を広げるのに大きく貢献してくれるでしょう。
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![▲1系統の入力端子(フォーン)と2系統の出力端子(フォーン)を実装。CLEAN OUT/FSWからはエフェクト無しのドライ音が出力される]()
▲1系統の入力端子(フォーン)と2系統の出力端子(フォーン)を実装。CLEAN OUT/FSWからはエフェクト無しのドライ音が出力される[/caption]
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![▲別売りの専用フット・スイッチ、Foot Switch For Plus Pedal(5,500円)。本体のCLEAN OUT/FSWに接続する]()
▲別売りの専用フット・スイッチ、Foot Switch For Plus Pedal(5,500円)。本体のCLEAN OUT/FSWに接続する[/caption]
加えてSEND(フォーン)とRETURN(フォーン)も搭載。SENDからはエフェクト音が出力されているので、SENDから空間系エフェクトなどに入力してRETURNへ戻すと、よりエフェクティブな音作りができるでしょう。
従来のエフェクトとは一線を画す
自然なサステイン・サウンド
それでは実際に使用してみましょう。まずはエレキギターで演奏しました。GROUPモードでレイヤー数を最大の5にしてTAILを無限大に設定。そしてエフェクト音のみのSPLITモードにすることで、どこまでも続いていくようなアンビエント/ドローン・サウンドが生まれました。ひずみ系のエフェクターと併用して、激しいフィードバック・サウンドを作るのも面白いかと思います。もちろん、ピアノ・スタイルの美しいサステインを付与することもできました。
続いて、キーボードやシンセサイザーといった鍵盤楽器でのテスト。コードを持続させつつ軽快にメロディを弾いたり、途中で音色を切り替えて異なる音のレイヤーを重ねていく……といった、通常のサスティン・ペダルでは表現できない新しい響きを持ったサウンドを作り出せました。
また、弦&管楽器などを収音するマイクにつなげることによって、新たな音像に出会えることでしょう。
音を持続させるという意味では、これまでもフリーズやホールドといった機能を有した空間系コンパクト・エフェクターは幾つもありました。しかし、本製品はそれらと一線を画した自然なサステイン・サウンドを実現させています。
ユニークで優れた機材は、作曲や演奏に大きく影響を与え、ミュージシャンに新たなインスピレーションをもたらしてくれます。Plus Pedalはそういった機材だと言えるでしょう。
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(
サウンド&レコーディング・マガジン 2018年10月号より)