24ステップ・ボリューム・コントロール・ノブ
MUTE/DIM/MONOスイッチ搭載
Axisは電源が要らないパッシブ・タイプのデスクトップ・モニター・コントローラーで、とてもシンプルな見た目。煩わしいACアダプターの接続も不要です。重量は1.87kgとしっかりあるので、万が一ケーブルなどが引っかかっても、デスクの上から簡単に落ちたりという心配もありません。
フロント・パネルの中央には、直径64mmの大きなスイスELMA製24ステップのボリューム・コントロール・ノブがあります。ノブはアッテネーターとして機能し、0〜−30dBは2dBずつ、−30〜−65dBは5dBずつのステップで変化します。右側にはアウトプット関係のスイッチがまとめられていて、各スピーカーの出力を切り替えるA〜Cのスイッチと出力を止めるMUTEスイッチ、その下に音量を下げてくれるDIMスイッチ(−25dB)が並んでいます。小さい音量で確認したいときなどにDIMがあると良いですね。また、各スピーカーの出力トリムは高品質なALPS製のポテンション・メーターを搭載し、−20〜0dBまで調節ができるので、各出力を同じ音量に合わせたいときなどに便利です。
フロント・パネルの左側には、インプット関係がまとめられています。各入力を切り替える1〜4のスイッチと、その下にL/Rステレオをモノラル化するMONOがあります。
次にリア・パネルを見てみましょう。インプット1〜2にはTRS/TSフォーンが2系統、インプット3にはオーディオ機器の接続などに便利なRCAピン、そしてインプット4にはスマートフォンや携帯音楽プレーヤーなどを接続可能なステレオ・ミニ端子があります。また、アウトプットには、TRS/TSフォーン端子が3系統備えられています。
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![▲リア・パネル。OUTPUTSにはTRS/TSフォーンを3系統、INPUTSにはTRS/TSフォーンを2系統、RCAピンを1系統、ステレオ・ミニを1系統装備する]()
▲リア・パネル。OUTPUTSにはTRS/TSフォーンを3系統、INPUTSにはTRS/TSフォーンを2系統、RCAピンを1系統、ステレオ・ミニを1系統装備する[/caption]
ナチュラルで透明感のあるサウンド
色付け無くオールマイティに使える
では、使ってみようと思います。まず、現在使っているモニター・コントローラーと差し替えて使ってみたところ、とてもナチュラルで癖の無い音を聴くことができました。Axisは“オール・パッシブの回路設計を採用し、増幅回路によるひずみや色付けを徹底的に排除した”と謳っているのですが、非常に透明感のあるサウンドでびっくりしました。
ボリューム・コントロール・ノブを回してみましたが、ステップ間のボリュームはスムーズに変化するようです。また、各ステップごとにカチカチと音を鳴らしてきちんと止まり、ノブの硬さもちょうど良いですね。DIMスイッチを使わず、ノブを使って音量を下げてモニターし、その後普段の音量に戻すときなど、ステップ式だと正確に元の位置に戻すことができるので便利だと思います。
次に、オーディオI/Oとスピーカーの間にAxisを通した場合と、そうでない場合の音を比較してみたのですが、音の広がり、奥行き、レンジの印象は変わらず、本当にびっくりしました。音量を大きくしても小さくしても、音の印象は全く変わりません。いろいろなジャンルの音楽を聴いてみましたが、色付けが無いのでオールマイティに使えます。
さらに、各ステップでの音量差を正確に確認してみようと思い、“オーディオI/OのアウトプットからAxisのインプット、AxisのアウトプットからオーディオI/Oのインプット”のようにループバック接続。ノブを回し、各ステップでの音量をDAWで記録/検証してみました。大体どのメーカーのモニター・コントローラーでも、一番音量の小さいところは誤差が生じやすいのですが、Axisにおいては最後の−65dBまで誤差は無く、精密に作られているのだなと感じました。また、左右の音量差は全く無く、安心して使うことができます。
Axisは無駄なものがいっさい付いていないので、キュー・システムなどが必要な大きいレコーディング・スタジオには向かないかもしれませんが、プライベート・スタジオで使うには本当にお薦めの製品です。価格も10万円と少しということで、この価格帯でこの音質のモニター・コントローラーは意外となかったと思います。
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(
サウンド&レコーディング・マガジン 2018年4月号より)