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「NATIVE INSTRUMENTS Maschine」製品レビュー:ハード/ソフトを統合したトラック制作システムの最新バージョン

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フル・カラーのディスプレイを搭載し パッド・サイズが刷新された

Maschine MK3はMaschineファミリーの中でも中核に位置する製品です。対応するMaschine 2.0ソフトウェアはOS X 10.11以降/Windows 7以降で動作し、スタンドアローンのほかVST/AU/AAXの各プラグインに対応。同社の拡張プラグイン・フォーマットNKSに対応したプラグインを読み込んで使用可能です。 搭載される音源は付属するものだけでもトラック・メイクするには膨大な量です。8GB相当のサウンド・ライブラリー、物理モデリングのDrum SynthやBass Synthに加え、同社の製品から選りすぐりの音源を収録したKomplete 11 Selectが付属します。 それではMaschine MK3の新機能を見てみましょう。コントローラーのサイズ感はそのまま踏襲され、ディスプレイは高解像でフル・カラーになりました。この画面にはMaschine Studioのように、ピアノロールや音源のアートワーク、レベル・メーター付きのミキサー画面などが表示されます。まるでスマホのディスプレイのようで、つい画面を触ってしまいます……。 演奏する部分ではパッドが刷新され、パッド間の距離はそのまま、パッド・サイズだけが大きくなりました。パッドのたたきやすさは健在で、以前のMaschineでは難しかったフラムやロールを3本指で演奏することも簡単。このパッドにも次世代感があります。 操作子周りでは、上下左右にクリックできる4方向プッシュ式エンコーダーが新しく搭載されました。これ一つでプリセットのブラウズ・ロードから操作のナビゲート全般まで可能にする便利なエンコーダーです。 パッドの上にはパッド・モード切り替えボタンが配置され、ボタン一発でパッドの機能をドラム・パッドからスケール対応キーボード、コード、ステップ・シーケンサーに切り替えられ、フィンガー・ドラミング以外の幅広い演奏スタイルにも対応できるでしょう。それとは別に、MIXERやARRANGERといったよく使う機能のボタンも前面に配置されて、操作性が向上しました。 ディスプレイ下部に配置されているおなじみの8つのノブはタッチ・センサー付きになり、ノブに触れるとFXパラメーターの専用メニューを開いたり、MACRO機能に任意のパラメーターを簡単にアサインできるなど便利なノブに進化しています。  

24ビット/96kHzに対応した オーディオ・インターフェース機能を内蔵

そして、Maschine Jamに搭載されたスマート・ストリップもMaschine MK3に追加されました。これはタッチ・センサー付のストリップを指でなぞることで、ピッチ/モジュレーションのコントロールやコードのストラム奏法、Maschineソフトウェア2.5から搭載されたPerform FXをコントロールできる機能です。特にPerform FXは筆者のお気に入りで、派手にエフェクトをかけても、指を離すだけでバイパスされるパフォーマンス向きのエフェクトがそろっています。こうした機能がMK3に搭載されているのにも次世代を感じます。 ほかの便利な機能では、24ビット/96kHzに対応したオーディオ・インターフェースを内蔵し、アナログ2イン/2アウトの入出力とヘッドフォン・アウトに加え、入力レベルを調節可能なマイク用のインプットも搭載しています。マイクで声やいろいろな物音をサンプリングしたり、ライブ中にラップを入れるという使い方も面白そうです。 音質は派手な押し出し感も無く、高域から低域まで詰まるところなく鳴るクリアなキャラクターです。背面にアナログ・アウトのアッテネーターのツマミがあるので、現場に合わせてレベル調節もできます。 筆者にとって一番の驚きは、これだけの機能を搭載しながらもUSBバス・パワーで動作する点。一昔前の機材では考えられないほど省電力化を果たしているのも次世代感あふれるポイントではないでしょうか。 一通りMaschine MK3をテストしてみると、Maschine StudioとMaschine Jamの良いところを引き継いで一台にぐっと凝縮した印象です。また、これだけの機能が追加されていながらも、コンピューターを見たり触れることなく演奏できる操作感は健在で、実売価格もMK2と変わらないのは驚きです。この攻めてる3代目、旧ユーザーが乗り換えるのはもちろんのこと、これからトラック・メイクを始めようという方にもオススメの一台です。   [caption id="attachment_71477" align="alignnone" width="607"]SR1712_NI_KPO_4714 ▲リア・パネルには左からヘッドフォン・ボリューム、ヘッドフォン・アウト(フォーン)、ライン・アウト・ボリューム、ライン・アウトR/L(フォーン)、マイク・イン・ゲイン、マイク・イン、ライン・イン2/1(以上フォーン)、MIDI OUT/IN、ペダル(フォーン)、USB端子を備える[/caption]     撮影:川村容一 link-bnr3サウンド&レコーディング・マガジン 2017年12月号より)

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