UKのSAMPLEPHONICSから届いた“ヒップホップ感”を渋めに助長するサウンドの素材集。容量は502MBで、すべて24ビット/44.1kHzでの収録です。少し前からアンダーグランドのヒップホップはヨーロッパが熱いイメージがあるので、UKと聞くといや応にも期待が高まります。
同社のジャケはどれも秀逸で、視覚だけでも購買意欲をそそるシリーズなのですが、肝心の音はと言うとこれまた負けず劣らずのハイクオリティ。生ドラム系はもちろんのこと、ROLAND TR-808系の音一つとってもしっかりとした生っぽさがあり、実機からアナログ卓を通して得られた人間らしさを感じます。一般的にこの手の素材は音を良く聴かせるために音像が近く、オン過ぎる鳴りが多いため、楽曲に盛り込む際にそれをいかにバランス良く遠ざけて混ぜるかに毎回労力を注ぎますが、この音源は程良い距離感、空気感だったので、すんなりオケになじんでくれました。
全体的な特徴として、低域に好感が持てる質感で収録されているので、レイヤーでの音作りには重宝しそうです。上モノ系も、分かりやすくド派手なヒップホップ系こそないものの、どの音もしっかりとツボをつかんでいてチョップ意欲をわかせてくれる音ばかり。ループ素材のグルーブも“これぞヒップホップ!”的なタイミングでよれているものもあり、例えばアングラな音を欲していない方でも、グルーブを抽出して使えば、程よいブラック・ミュージックの雰囲気が出るのではないでしょうか。単発素材もハットやスネアなどに嫌なピークがなく使いやすいです。ドラム・トラックを作る際のファースト・チョイスとして使用すれば“ノレる音”で音を積んでいくことができ、その上最後まで土台として存在し続けるような音だと思いました。まさにHIP HOP CREATE DIGGERの名にしく、丹念にディグられたような洗練された素材集です。
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