独自の上下非対称ホーンを採用 多彩なDSPプリセットを用意
本体には、クラスD Digipro G3アンプ・モジュールが搭載され、実用最大出力1,800Wを実現している。上下非対称の高域用アコースティック・ホーンが特徴で、水平方向が上部85°〜下部120°、垂直方向が上に25°〜下に60°の指向特性になっている。 Opera Unica 15を早速スタンドに立てて設置してみた。15インチなので安定感のある大きさを保っているが、強化ポリプロピレンの筐体は18.2kgで、一人でも設置できる重量だ。上部と側面に付いている取っ手を利用することで、一人での運搬や設置も楽にできるような工夫がされている。また、電源コネクターにpowerCONが採用されており、抜け落ちの心配が無いメリットは大きい。 [caption id="attachment_80749" align="aligncenter" width="650"]

中域〜低域が豊かでナチュラルな音 コントローラーでエフェクトを遠隔操作
いつも使っている録音スタジオのブースにて、まずはコンピューターをつながずフラットな状態でサウンドを確認してみた。マイクでしゃべりながらボリューム・コントロールをしてみると、その位置からでも、低域の量感が得られた。15インチならではの感じだ。高域ホーンの指向性も非対称の効果が出ており、上部が狭く、下部が広いということで、近距離のカバー・エリアが広く、遠距離の反射音は減っているように思う。中高域から中低域までの押し出しはあるが、超低域が必要なシーンには、少し補助が必要かと感じられた。 [caption id="attachment_80752" align="aligncenter" width="650"]

2,000円)。LAN端子×2とXLR端子×2を備えている[/caption] Wi-Fiではなく有線接続なので、安心感がある。Aurora Netの設定を“ONLINE”にして、“AUTO GROUPING”を選択するとL/R同時のコントロールが可能になった。スピーカー単独でのコントロールは、ボリューム/ミュート/DSPプリセットの選択、また高域と低域のボリューム、5Hzステップのハイパス・フィルターがコントロールができる。グループ・コントロールとしては、トータルで16ポイントまで増やせるパラメトリックEQを任意の数で使用可能。シェルビングなどEQカーブも選べるので、クロスオーバー的な使い方もできる。コンピューターでのコントロールが優先になり、スピーカー裏のコントロールは、ボリュームも含めてすべて利かなくなるので誤作動の心配も無い。 コンピューターにてDSPプリセットを変更してそのサウンドを確認した。Playbackモードは少しずつ高域と低域が足された感じ。Bass boostモードはその名の通り低域が持ち上がり、Vocal enhanceモードでは、かなり極端に低域がカットされた。次にWEDGEモードを選択し、Opera Unica 15を床に転がして声を入れてみた。正面では中域のピークがやや抑えられ、低域が若干整理されたように感じる。特にスピーカーの裏に出てくる低域の成分がかなり整っていることに気が付いた。15インチ・ウーファーだからこそ、プロセッシングをしてもそれほど違和感を感じないのかという新たな発見であった。このようなモードは、ハウリングを起こしにくく、ブーミーではないソリッドでタイトな音になりがちだが、不自然さは感じなかった。また、非対称のホーンの広い方がウーファー側に向いているため、ホーンが外でも、センターがディップにならず影響が少ないと感じた。シンメトリー・タイプがあれば、モニター・スピーカーとして効果的だと思う。 昨今ユニットの大きさ以上のレンジを保つ工夫がされている製品が多くなってきたが、Opera Unica 15はそのまま15インチのサウンドであるところに好感が持てた。大きなユニットとエンクロージャーならではの安心感、パワードであるというマッチングの良さと軽量さを保ったことで、リーズナブルな製品となっている。 (サウンド&レコーディング・マガジン 2019年8月号より)